初めて日本酒を飲みたい、誰かに日本酒を贈りたいなど、日本酒を買う機会はありますが、店頭にはたくさんの日本酒が並べられています。その中からどの日本酒を選べばよいかわからないと感じたときはありませんか。
同じ銘柄の中にも、「吟醸酒」「純米酒」「醸造酒」「純米大吟醸」などいくつかの種類があり、どのような味や香りの違いがあるのかわからないので迷ってしまいますよね。
ここでは、日本酒の種類の違いをわかりやすく整理していますので、日本酒を選ぶとき、違いを理解しながら選ぶことができるようになります。
初めて日本酒を選びたい人向けの内容です。ぜひ参考にしてみてください。
日本酒の中でも「清酒『特定名称酒』」を選ぼう

初めて日本酒を選ぶときは「清酒」を選びましょう。清酒は、酒税法で「原料に米を使い、必ず『こす』工程があり、アルコール度数22度未満の酒」ときめられています。
清酒は、「特定名称酒」と「特定名称酒以外の日本酒」に分けられています。
「特定名称酒以外の日本酒」は、「普通酒」「一般酒」と呼ばれ、原料や精米歩合に決まりがなく、安い価格で買うことができます。
香りは穏やかで、ほどよいうま味があるため、落ち着いた味わいを日常的に楽しむためにはよい日本酒です。
ただ、初めて日本酒を飲みたい人、誰かに日本酒を贈りたい人は、味わいと香りを楽しむことができる「特定名称酒」がおすすめです。
特定名称酒は、「清酒の製法品質表示基準」に決められた条件があります。
- 使用原料(3等以上に格付された玄米)
- 精米歩合
- 麹米の使用割合(白米重量の15%以上)
- 醸造アルコールの使用量(白米重量の10%以下)
特定名称酒の違いを知るためには、「精米歩合」「醸造アルコール」について理解する必要があります。精米歩合、醸造アルコールについて知っている人は、「特定名称酒の種類」まで飛ばして読んでください。
![]() | 価格:10,980円 |

精米歩合は「白米の玄米に対する重量の割合」

精米歩合とは、白米の玄米に対する重量の割合のことです。つまり「精米して残った米の割合」です。例えば、精米歩合が「70%」となっていれば、玄米の表層部30%を削り取っているということになります。
玄米の表層部を削り取るのは、雑味の原因であるたんぱく質や脂質などの栄養素を取り除くためです。
表層部に含まれている脂質は、フルーティーで華やかな香りを抑えてしまうため、雑味のない日本酒を造つためには多く磨く必要があります。
精米歩合が50%以下だと、表層部に含まれている脂質がほとんどなくなると言われています。すると、香りを抑える脂質を除くことができます。
味わいや香りなどは、精米歩合によって変わります。一般的には、精米歩合が高くなれば、すっきりした味わいで華やかな香りが際立ちます。精米歩合が低ければ、コクのある味わいで米本来の香りを感じることができます。
精米歩合が50%以下の日本酒は、手間をかけて米が磨かれているので、値段が高い傾向にあります。
精米歩合が高い | 精米歩合が低い | |
---|---|---|
味わい | 端麗・クリア | 芳醇・コク |
香り | フルーティー・華やかな | 米本来の香り |
醸造アルコールは「味と香りを整える蒸留酒」

醸造アルコールは、主にサトウキビなどを原料とした蒸留酒で、添加することで香りを際立たせ、すっきりとした味となります。また、香りを劣化させる乳酸菌の増殖を防止する効果がります。
日本酒造りにはよい効果をもたらす醸造アルコールですが、醸造アルコールが添加されていると「悪酔いする」「体に悪い」というマイナスのイメージをもっている人がいます。
これは、第二次世界大戦の時期にアルコール量を増やすために醸造アルコールが使われ、出回っていたことが原因です。
今日では、吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米重量の10%以下と定められているため、アルコール量を増やすために使われことはありませんので、安心して飲んでください。
特定名称酒の種類

特定名称酒は「清酒の製法品質表示基準」で、使用原料や精米歩合、醸造アルコールの有無で、次の8種類に分類されています。
- 吟醸酒
- 大吟醸酒
- 純米酒
- 純米吟醸酒
- 純米大吟醸酒
- 特別純米酒
- 本醸造酒
- 特別本醸造酒
8種類の使用原料と精米歩合は次の通りです。
名称 | 使用原料 | 精米歩合 |
---|---|---|
吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下 |
大吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 50%以下 |
純米酒 | 米、米麹 | ー |
純米吟醸酒 | 米、米麹 | 60%以下 |
純米大吟醸酒 | 米、米麹 | 50%以下 |
特別純米酒 | 米、米麹 | 60%以下、特別な製造方法 |
本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 70%以下 |
特別本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下 |
それでは、「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」について、くわしく解説していきます。
吟醸酒
吟醸酒は、使用原料が米、米麹、醸造アルコールで、「吟醸造り」という製法で造られているのが特徴です。
精米した白米を10℃前後の低温でゆっくり発酵させ、フルーティーで華やかな特有の香り(吟醸香)が出るように、吟味して醸造することです。
次の2種類に分けられています。
- 吟醸酒
- 大吟醸酒
吟醸酒は、フルーティーで華やかな香りが特徴で、あたためることで香りと味のバランスが崩れます。好みによりますが、初めて日本酒を楽しむときは、燗酒で飲むことは避けたほうがよいです。
吟醸酒と大吟醸酒の違い
吟醸酒と大吟醸酒の違いは、精米歩合の違いです。吟醸酒の精米歩合が60%以下、大吟醸酒の精米歩合は50%以下となっています。
精米歩合が高い大吟醸は、吟醸よりもさらにフルーティーで華やかな香りを楽しむことができます。
![]() | 価格:6,470円 |

純米酒
純米酒は、米、米麹、水だけで造られた日本酒で、醸造アルコールが添加されていません。米のおいしさを引き出しているので、米本来のうま味、米の香りを楽しむことができます。
次の4種類に分けられています。
- 純米酒
- 純米吟醸酒
- 純米大吟醸酒
- 純米特別酒
純米酒
純米酒は、精米歩合のきまりがない日本酒です。醸造技術の向上で、精米歩合に左右されずにおいしい日本酒を造ることができるようになったため、精米歩合のきまりはありません。
純米酒を選ぶときは、酒米の種類、産地の他に、精米歩合も選ぶ一つのポイントになります。
ラベルに必ず精米歩合が記載されているので、似たような値段の純米酒があれば、精米歩合をもとに、味わいや香りに検討をつけて選んでみましょう。
純米吟醸酒と純米大吟醸酒
純米吟醸酒と純米大吟醸酒は、純米酒と吟醸酒の特徴をもっている日本酒で、純米酒の米本来のうま味、米の香りとともに、吟醸造りの吟醸香が調和された日本酒です。
使用原料は米、米麹、水だけで造られ、さらに吟醸造りで醸造されています。違いは、精米歩合です。純米吟醸酒の精米歩合が60%以下、純米大吟醸酒の精米歩合は50%以下となっています。
純米吟醸酒は、芳醇な味わいと華やかな香りを楽しむことができ、純米大吟醸酒は、より華やかな吟醸香を楽しむことができます。
純米大吟醸酒は、すっきりとした味わいと吟醸香が魅力ですので、冷酒(10~15℃)がおすすめです。冷やすことで、すっきりとした味わいが引き立ちます。冷やしすぎると、香りが落ち着いてしまうので、冷やしすぎには注意しましょう。
特別純米酒
特別純米酒の使用原料は、米、米麹です。精米歩合は「60%以下」または酒蔵が造るときに「特別な製造方法」を用いるとなっています。
酒蔵が何かにこだわりをもっている日本酒ですが、「特別」に明確なきまりはなく、酒蔵に任されています。ただ、どのように特別なのか、説明表示が義務づけられています。
特別純米酒を選ぶときは、何が特別なのかラベルをしっかり確認する必要があります。
一概には言えませんが、特別純米酒は、純米酒より米の風味が強く感じられるものが多いです。米の風味を楽しむためにも、常温かぬる燗(約40度)で飲むことをおすすめします。
特別純米酒のおすすめは、青森県の西田酒造店の「田酒」です。青森県産酒造好適米「華吹雪」を使用した地酒です。辛口ながらもコクがあり、飲み飽きしないすっきりした味わいです。
![]() | 日本酒 純米大醸 送料無料 飲み比べ セット 辛口 720ml×5本 全て全国新酒鑑評会 金賞受賞蔵!御中元 お中元 清酒 酒 誕生日 ギフト プレゼント 冷酒 純米大吟醸酒 長S 価格:6,600円 |

本醸造酒
本醸造酒は、純米酒に近い味わいと香りで、純米酒より端麗でまろやかな日本酒です。使用原料は、米、米麹で、バランスを整えるために醸造アルコールが添加されています。
精米歩合の割合によって、次の2種類に分けられています。
- 本醸造酒
- 特別本醸造酒
本醸造酒の精米歩合は70%以下、特別本醸造酒は60%以下です。
日本酒を飲む温度

日本酒は、銘柄や種類によって、いろいろな楽しみ方ができます。飲む温度もその一つです。
種類によっておすすめの温度があるかもしれませんが、好きな銘柄、好きな種類があるように、好きな温度で味わって、日本酒の楽しみを広げましょう。
すっきりとさわやかに味わいを楽しむことができます。
5度・・・雪冷え
10度・・・花冷え
香りが立って、やさしい口当たりを楽しむことができます。
15度・・・涼冷え
20度・・・常温
香りが豊かに広がって、ふくよかな味わいを楽しむことができます。
30度・・・日向燗
40度・・・ぬる燗
50度・・・熱燗
日本酒の種類の違いのまとめ
初めて日本酒を選ぶ人のために、日本酒の中でも「特定名称酒」は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 使用原料(3等以上に格付された玄米)
- 精米歩合
- 麹米の使用割合(白米重量の15%以上)
- 醸造アルコールの使用量(白米重量の10%以下)
さらに「特定名称酒」は、8種類に分けられています。
名称 | 使用原料 | 精米歩合 |
吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下 |
大吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 50%以下 |
純米酒 | 米、米麹 | ー |
純米吟醸酒 | 米、米麹 | 60%以下 |
純米大吟醸酒 | 米、米麹 | 50%以下 |
特別純米酒 | 米、米麹 | 60%以下、特別な製造方法 |
本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 70%以下 |
特別本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下 |
8種類に分類されますが、銘柄等によって多種多様な味を楽しむことができるのが日本酒です。初めて日本酒を選ときには、分類を参考にしながら購入してみてください。
そして、さまざまな日本酒を味わい自分の好みの日本酒を見つけてみてください。

