初めてつみたてNISAやiDeCoなどで投信信託を考えている人も多いはず。ただ、投信信託といっても、幅が広く何がよいのかわからないこともあるでしょう。ここでは、つみたてNISAなどで初めて投資信託を選ぶ人に、どのように銘柄を選んだらよいのか、おすすめの投資信託は何かをわかりやすく紹介します。
投資信託の分類

金融商品の違い
つみたてNISAやiDeCoに対応した投資信託は、大きく4つのタイプに分類されます。
- 全世界株式型…全世界の株式に分散投資
- 米国株式型…米国の株式に分散投資
- 国内株式型…日本の株式に分散投資
- バランス型…株式や債券、不動産など複数の資産に分散投資
世界や米国、日本の経済動向についてある程度見通しがなければ、どれを選べばよいかわからないでしょう。そのような人は、世界をカバーする全世界株式型か、世界を引っ張っている米国の米国株式型を選ぶのをおすすめします。
運用スタイルの違い
運用スタイルは以下のようになっています。
- インデックス型…日経平均株価やTOPIXなどの指数への連動をめざす
- アクティブ型…指数を上回る運用成果を目指す
インデックス型の組入銘柄は、基本的には指数の構成銘柄と同一となり、銘柄の調査や分析といった手間がかからないため、低コストで運営することができます。そのため、手数料(運用管理費用)も低く抑えることができます。
アクティブファンド型は、運用のプロフェッショナル(ファンドマネージャー)が投資判断をして組入銘柄を決定しています。ファンドマネージャーが、様々な企業を調査・分析することで、指数を上回る成績を目指しています。多くの企業の中から、企業を選別して投資を行っていくのがアクティブファンドの特徴です。
インデックス型とアクティブ型のどちらがよいかは、一概に決めることはできません。インデックス型は低コストで市場並みの運用成果をねらえ、アクティブ型はより大きなリターンが獲得できる可能性があります。運用の目的等から検討が必要です。
投資信託を選ぶ手順
- 全世界株式型や米国株式型など、金融商品を選ぶ
- インデックス型かアクティブ型か、運用スタイルを選ぶ
- 純資産総額が大きく、信託報酬が低い銘柄を選ぶ
このような手順で銘柄を選んでいくのがおすすめです。その際にポイントとなるのは、純資産総額と信託報酬です。
純資産総額は、投資家からどのくらい資産が集まっているのかを示しています。多くの資産が集まっている方がよいので、純資産総額は大きい方が望ましいです。
信託報酬は、投資信託の運用や管理の委託料です。投資信託の残高に一定の比率(信託報酬率)をかけて算出されます。したがって信託報酬率の低い方が望ましいです。
以下では、金融商品ごとに、純資産総額が大きく、信託報酬が低いおすすめの投資信託を紹介します。どれを選んでよいかわからないときは、以下の投資信託を参考にしてください。
おすすめの投資信託
全世界株式型

全世界株式型は、世界中の株に投資します。アメリカなどの先進国だけでなく、新興国の株にも分散して投資しています。世界中の株に投資するため、これから成長しそうな国、リスクが高まりそうな国などを考える必要がありません。
先進国や新興国を含む国や地域の株に1本で投資できます。経済の動向によって投資する割合や組み入れ銘柄を変更しています。
以下の3つがおすすめの全世界株式型でおすすめの投資信託です。純資産総額、信託報酬は、2022年8月現在です。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):純資産総額6254億円、信託報酬0.1144%
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド:総資産額1980億円、信託報酬0.202%
- SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド:純資産総額116億円、信託報酬0.1338%
「eMAXIS Slim 全世界株式」は、三菱UFJ国際投信が運用していて、全世界株式型で最も純資産総額が大きい投資信託です。投資信託の純資産総額が増えれば増えるほど、運用コストが下がる仕組みになっているため信託報酬も低く、全世界株式型投資信託では最もおすすめです。
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」もおすすめの全世界株式型投資信託の1つです。名前からわかるように、楽天が運用しています。
「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」の純資産総額が116億円と小さいのは、設定日が2022年1月31日で新しく誕生した投資信託だからです。特に問題があるというわけではありません。これから、「eMAXIS Slim 全世界株式」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と同様に伸びていくと考えられています。
2022年8月時点では、全世界株式型といっても米国の割合が高くなっているため、アメリカ経済の影響を強く受けます。
米国株式型

米国株式型の投資信託は、米国の株式市場に上場している銘柄に広く分散投資できます。全世界株式型でも米国の割合が高いように、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)をはじめ、有名企業が多く、とても魅力のあるのが米国です。
米国株式市場には、世界中から資金が集まり、流動性が高いのも魅力の1つです。資金が集まるのは、S&P500などの主要な株式指数が上昇しやすいように設計されていることが大きくなっています。
米国株の主要指数であるS&P500は、4半期連続で黒字という基準があるため、組み入れ銘柄が頻繁に入れ替わります。赤字になった企業は外れて、利益を出し続けている企業が残るためS&P500は上昇しやすくなっています。
以下の3つがおすすめの米国株式型でおすすめの投資信託です。
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド:純資産総額6416億円、信託報酬0.0938%
- eMAXIS Slim 全米株式:純資産総額1兆3983億円、信託報酬0.0938%
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド:総資産額6496億円、信託報酬0.162%
米国株式型の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は、S&P500に連動する投資信託です。つみたてNISAの対象銘柄の対象銘柄になっている米国株式型投資信託の中で、信託報酬が最も低くなっているのでおすすめです。
「eMAXIS Slim 全米株式」「楽天・全米株式インデックス・ファンド」も同様です。証券会社によって扱っている投資信託が違うので、入っている証券会社で検討してみてください。
国内株式型

国内株式型は、全世界株式型、米国株式型と比較すると、相場が安定しないためあまりおすすめできません。ただ、自分の国の株に投資したいと考える人なら、国内株式型が選択肢になります。国内株式型は1つだけ紹介します。
ひふみプラス:純資産総額4578億円、信託報酬1.078%
国内株式型「ひふみプラス」は、インデックス型ではなくアクティブ型になります。年率リターンは、3年以上ではプラスを維持している投資信託の1つです。
バランス型

バランス型は、株だけではなく債券や不動産など、複数の金融商品に投資しているのが特徴です。各資産に同じ比率で投資したい人にはおすすめです。ただ、利回りは全世界株式型や米国株式型と比べて低くなっています。守って投資をしたい人に向いているかもしれません。おすすめは1つです。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型):純資産総額1566億円、信託報酬0.154%
まとめ
初めての投信信託はいかがだったでしょうか。初めての投資信託では、全世界株式型と米国株式型がおすすめです。全世界株式型でも米国の割合が高いので、どちらがよいかは決められません。世界に投資したいか、米国に投資したいかで決めてみてはどうでしょうか。
積み立て投資は早ければ早いほどよいですので、この記事を参考にして、つみたてNISAやiDeCoを始めてみてはどうでしょうか。