小学生になり走る機会が増え、人と比べてしまうことで「うちの子は走るのが遅い」と感じる家庭があるのではないでしょうか。速く走りたいと思っている家庭も多いはずです。
ここでは、少しでも速く走りたい子どものために、速く走るためのコツやトレーニング方法を元小学校教員が3つに厳選して紹介します。
速く走るためのコツ
速く走るためには、コツがいるのではなく正しいフォームで走ることが大切です。正しいフォームこそが、速く走るためのコツです。
正しいフォーム=コツさえつかんで走れば、これまでより速く走ることができます。子どもの体の動かし方に目を向けて、声をかけてあげましょう。
正しくうでをふる
正しいうでのふり方のポイントを紹介します。
- うでをしっかり大きくふる
- うでを前後(たて)にふる
- うでの力をぬく(手に力を入れない)
腕をしっかり大きくふることができれば、足も一緒に前に出るようになります。できるだけ体の近くでふるようにしましょう。
ひじが伸びてしまいだらっとした状態で走る子を見かけますが、ひじが伸びてしまうとうでのふりが遅れてしまうので、90度に曲げた状態が理想的です。
うでを大きくふることは大切ですが、横にふると体がぶれてしまい、前に進む力が生まれません。特に女子は、うでを横ななめにふることが多いです(男子との骨格の違いから)。
そのため、うでを前後(たて)にふりながら走るようにしましょう。
また、速く走ろうとすると、手を強くにぎってしまし、手によけいな力が入ってしまいます。すると、うでにも力が入ってしまい、うでのふりが遅くなってしまいます。
手のひらは少しにぎるか、開いた状態にするとよけいな力が入らず、うでをしっかり大きくふることができます。
あし(ひざ)を高くあげる
速く走るためのコツの2つ目は、「あしを高くあげる=ひざを高くあげる」ことです。ひざをへその辺りまで高く上げることで、歩幅(ストライド)が広くなり、スピードが出やすくなります。
速く走るためには、歩幅(ストライド)と回転数(ピッチ)が関係していますが、小学生で回転数を上げることは難しいです。速く走るためには、歩幅を広くするようにするとよいです。
小学生の身長の低い子にありがちですが、ひざの上がりが低い子どもがいます。ひざのあがりが低いと、一歩一歩の歩幅がせまくなってしまいます。
身長が低くても、より高いところから踏み込むほうが歩幅が広くなり、より速く走ることができます。ひざを高くあげましょう。
ただし、ひざを高くあげることを意識しすぎて、背中が曲がることもあるので注意が必要です。体はまっすぐの状態のまま走ります。
股関節が硬い場合は、すぐにひざを高くあげることが難しい場合があります。普段から股関節まわりの柔軟をするなど、少しずつ柔らかくしていくと効果があります。
地面をしっかりおす
あし(ひざ)を高くあげたあと、しっかり下げ、地面をおす(ようなイメージ)で走ることが大切です。小学生の子どもには伝えずらいかもしれませんが、空き缶をつぶすイメージです。
「地面をける」とよく聞きますが、地面をけると、けるために足の接地時間が長くなってしまうことがあります。
地面をグッ、グッとすばやくおすことで、接地時間を短くして地面に力を加えます。このとき、足の裏全体でおすのではなく、かかとは少し浮かせるようにしておします。
つま先で走るようなイメージで着地をすることで、リズムカルに足を運ぶことができ、速く走ることにつながります。
速く走るためのトレーニング
速く走るためのトレーニングと言っても、ここでおすすめするのは筋肉トレーニングなどつらいものではありません。小学生が、楽しみながらトレーニングできる遊びを紹介します。
遊びの中にトレーニング的要素を取り入れることで、楽しみながら走る練習をしてみてはどうでしょうか。
けんけんぱ

速く走るためには、足をうまく動かす必要があります。
低学年であれば「けんけんぱ」がおすすめです。「けんけんぱ」で遊ぶことで、足をうまく動かす練習が自然とできます。
いろいろな輪でジャンプを繰り返すので、瞬発力を鍛えることにもつながります。
なわとび

なわとびは、リズム感と瞬発力を鍛えることができる遊びです。
なわとびをリズムよく跳ぶことで、リズム感が鍛えられ、上半身と下半身の動きをスムーズにすることにつながります。
また、タイミングよく跳ぶことで、瞬発力を鍛えることもできます。速く走るための足の回転を速くすることにつながります。
走るときに、バタバタと走ってしまう子どもは、なわとびをすることで地面に足が着いている時間を短くするきっかけになります。接地時間が短くなれば、当然移動速度が速くなり、足が速くなります。
おいかけっこ(おにごっこ)

おいかけっこでは、最後まで全力で走る力=持久力を鍛えます。速く走るためのコツを知っていても、体力がなければ速く走ることはできません。
遊びの中で走る時間を長くすることで体力がつき、短距離走であれば最後まで力を出し続けることができます。親子でおいかけっこをするときは、子どもの全力より少し速く走ることをおすすめします。
親の走るスピードがゆっくりすぎても、速すぎても子どもは全力を出しません。その力加減を見極めて、楽しく遊んでみてください。楽しみながらおいかけっこをして体力をつけてください。
まとめ
速く走るためのコツとトレーニング法について紹介しましたが、どうだったでしょうか。正しいフォームについては、決して無理強いはせず、一つずつ教え一つずつ修正していくようにしましょう。一気に教えても、できないことが目につき、親も子も疲れてしまいます。子どものやる気を最も大切にしましょう。
トレーニングについては、遊びを通して楽しみながらトレーニングできていることが望ましいです。とちゅうでつらくなったり、嫌になったりするような厳しい練習にならないように気をつけましょう。