6年生の子どもをもつ保護者で、学校から持ち帰ってくる宿題が難しくて、子どもに聞かれても教えることができずに悩んでいる人はいませんか。
6年生になると学校での学習が難しくなり、宿題によっては教えることができないときがあります。
ここでは、元教員の私が、6年算数の「比」について教科書の流れを参考にしながら、「比」についてわかりやすく解説していきます。
最後まで読むことで、6年生の子どもが「比」の宿題を持ち帰ったときに、以下で紹介する考え方をもとに教えることができるようになります。
6年生の子どもをもち、宿題の教え方で困っている保護者の人は、ぜひ最後まで見てください。
比で学ぶこと

比とは二つの数量の大きさを比べて割合で表すとき、どちらか一方をもととするのではなく、簡単な整数など組を用いて表す方法です。
簡単にいうと、2つの数量の割合を「a:b」のようなかたちに表すことです。日常生活では料理などで見かけることが多いかもしれません。
6年算数の「比」で学習することは、次のとおりです。
- 比の意味や表し方を理解する
- 数量の関係を比で表す
- 等しい比をつくる
学校や先生によりますが、練習問題やテストを除くと、だいたい6時間程度で学習する内容です。
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比

「比」では、次のことを学習します。
- 比を使った割合の表し方
- 比の意味
まずは、「比」について表し方と意味を簡単に学習していきます。基本ですので、難しい内容ではありません。
比の表し方と意味
教科書では、ドレッシングをつくる場面などから「酢」と「サラダ油」の比を考えさせ、比の表し方と意味を知らせます。
酢30mLとサラダ油50mLでドレッシングを作るとき、酢とサラダ油の割合は、「30:50(30対50)」と表し、このように表した割合が「比」です。
比の表し方と意味については、このような内容が理解できていれば大丈夫です。
赤のテープ50cm、白のテープ85cmの長さの比
A.50:85
日常生活では、めんつゆなどに「1:3」などが見られます。また、地図の縮尺でも「1:5000」などが見られます。
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等しい比

「等しい比」では、次のことを学習します。
- 「比の値」の意味
- 比が等しいことの意味
- 等しい比の性質
- 比を簡単にすること
- 小数や分数の比
- 小数や分数の比の値
「比の値」という言葉を久しぶりに聞いた人、初めて聞いた(ように感じている)人などさまざまだと思います。
そして、整数だけではなく、比に小数や分数が入ってきますので、少し難しいように感じますが、少しずつ理解していけば大丈夫です。
小学校の「比」は、ここが基本のすべてです。では、解説していきます。
比の値の意味
比の値は、「酢:サラダ油=30:50」のとき、酢の量がサラダ油の何倍になっているかを表したものです。
ここでは、サラダ油が「もと」になっていますので、「くらべる量÷もとにする量」で求めます。この求め方は、5年生の「割合」で学習しています。
30÷50=3/5となりますので、30:50の比の値は「3/5」となります。小数では「0.6」とも表すことができます。
お菓子の入っている箱縦15cm、横30cmの長さの比と比の値
A.長さの比→15:30 比の値→1/2(0.5)
比が等しいことの意味
2つの比で比の値が等しいとき、2つの比は等しいと言えます。
例えば、「30:50」と「90:150」を比べるとき、比の値は「30÷50=3/5」「90÷150=3/5」と計算でき、どちらも「3/5」になり、2つの比は等しいと言えます。
2つの比「30:50」と「90:150」が等しいとき、「30:50=90:150」と書きます。
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等しい比の性質
等しい2つの比には、同じ数をかけたり、同じ数でわったりできるという性質があります。
例えば、「30:50」と「90:150」であれば、「30:50」の2つの数に3をかけると「90:150」になります。また、「90:150」の2つの数を3でわると「30:50」になります。
「6:8」と「12:16」は等しいか、等しくないか。
A.等しい(どちらの比の値も3/4になる、2つの数に同じ数をかけてできる)
「3:4」と「12:15」は等しいか、等しくないか。
A.等しくない(比の値が3/4と4/5、2つの数に同じ数をかけてもできない)
比を簡単にすること
比を簡単にするとは、できるだけ小さな整数の比に直すことです。直し方は、「等しい比の性質」か「比の値」を使います。
等しい比の性質を使えば、「15:18」の2つの数を3でわって「5:6」にできます。比の値を使えば、「15÷18=5/6」となり「5:6」にすることができます。
ここでは、最大公約数で両方の数をわればよいことに気付かせることが大切です。
これまでの学習を使うことで、比を簡単にすることができます。
「15:27」の比を簡単にする
A.5:9(2つの数を3でわる、比の値15÷27=5/9)
小数や分数の比
小数や分数の比は、整数のときと同じように表すことができます。
例えば、赤のリボン3mと青のリボン1.5mのとき、比は「3 : 1.5」となります。鍋の水3/4Lとやかんの水2/5Lのとき、比は「3/4 : 2/5」となります。
小数と分数の比を簡単にするときは、小数であれば整数に、分数であれば通分して(分母をそろえて)から直します。
「3 : 1.5」であれば、両方の数を10倍すると「30 : 15」になります。あとは整数の比を簡単にする方法と同じで、最大公約数でわり「2 : 1」となります。
小学校の学習では、1/10の位までの比しか出てこないので、10倍してあげるとよいです。
「3/4 : 2/5」であれば、通分をし「15/20 : 8/20」とします。分母がそろっているので、分子だけを比べることと同じですので、「15 : 8」となります。
比の値を使う方法も教科書では紹介されていますが、小学生は比の値を使った方法は難しく感じているようですので紹介しません。
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比を使った問題

「比を使った問題」では、次のことを学習します。
- 比の一方の数量を求める問題
- 全体を決まった比に分ける問題
これまで学んだ「比」を利用して文章問題を解いていきます。「比」を難しく感じるのは、「比を使った問題」がほとんどです。特に「全体を決まった比に分ける問題」です。
問題の内容を図で整理して考えることで、多くの子どもは解くことができるようになりますので、図を使って説明していきます。
比の一方の数量を求める問題
砂糖と小麦粉の重さの比を2 : 5 にしてケーキを作るとき、小麦粉を150gにすると砂糖は何gいりますか。
問題の内容を図で整理すると次のようになります。図で整理することが苦手な子どももいますが、「2 : 5」から7等分する線分図を書かせると整理しやすいです。

比の一方の数量を求める問題は、2つの手順で求めることができます。
図から小麦粉150gの比が5であることがわかるので、比の1つ分を求めます。150gが5等分されているので、「150÷5=30」となり、比の一つ分が30gであることがわかります。
比の一つ分が30gで、砂糖の比が2であることがわかるので、比の2つ分を求めます。比の1つ分を2倍すればよいので、「30×2=60」となり、砂糖が60gであることがわかります。
2つの手順があるため、小学生は難しく感じてしまいますが、問題の内容をしっかり図で整理することで求めることができます。
全体を決まった比に分ける問題
ゆいさんと妹は、お金を出し合い630円の本を買うことにしました。ゆいさんと妹がお金を出す分の比を7 : 2にすると、それぞれ何円ずつ出せばよいですか。
問題の内容を図で整理すると次のようになります。「7 : 2」から9等分する線分図を書かせると整理しやすいです。

全体を決まった比に分ける問題は、4つの手順で求めることができます。
比の一方の数量を求める問題と違い、比と数量が対(つい)になっている部分がありません。そのため、630円と対になる比を求めます。
ゆいの比が7、妹の比が2で、合わせれば全体の比が出るので「7+2=9」となり、全体の比は9となります。
全体の比を図に書き入れると、図から全体630円の比が9であることがわかるので、比の1つ分を求めます。630円が9等分されているので、「630÷9=70」となり、比の一つ分が70円であることがわかります。
比の一つ分が70円で、ゆいの比が7であることがわかるので、比の7つ分を求めます。比の1つ分を7倍すればよいので、「70×7=490」となり、ゆいが出すお金が490円であることがわかります
ゆいが出すお金が490円であることがわかったので、全体の630円から490円を除けば妹の出すお金がわかります。「630-490=140」で妹が出すお金が140円であることがわかります。
全体を決まった比に分ける問題は、4つの手順が必要になるため、算数が苦手な子どもは苦戦することになります。ただ、図で整理して手順通りに進めれば解くことができます。
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比のまとめ
比で学ぶことは、大きくわけて以下の3つです。
- 比の意味や表し方を理解する
- 数量の関係を比で表す
- 等しい比をつくる
その中の「比」では、次の2つを学びます。
- 比を使った割合の表し方
- 比の意味
「等しい比」では、次の6つを学びます。
- 「比の値」の意味
- 比が等しいことの意味
- 等しい比の性質
- 比を簡単にすること
- 小数や分数の比
- 小数や分数の比の値
「比を使った問題」では、次の2つを学びます。
- 比の一方の数量を求める問題
- 全体を決まった比に分ける問題
「比」は、短い時間の中で新しいことを学ぶので、苦手意識がつきやすい学習内容です。特に「全体を決まった比に分ける問題」では、手順が4つあるため、特に難しく感じます。
保護者の方もどのように教えればよいのかわからないときがあると思いますが、今回の比の内容を生かしながら子どもに教えてみてください。