4年生になり、はじめてわり算の筆算を学びます。まずは「1けたでわるわり算の筆算」です。次に、「2けたのわり算の筆算」です。ここでは、元小学校教員が学校で教える「2けたでわるわり算の筆算」のポイントをわかりやすく紹介します。わり算の筆算を家庭で教える際に、気を付けることが何かが分かります。子どもに教えるときの参考にしてください。
学ぶこと
小学校の先生たちは、教科書を使って教えていますが、実際は「小学校学習指導要領」というものをもとにして指導しています。
小学校学習指導要領では、4年生の「2けたでわるわり算の筆算」について以下のように触れられています(ここでは家庭でもわかるように、学習指導要領の内容を簡単な言葉におきかえて説明します)。
- わる数が2けたで、わられる数が2けたや3けた、それ以上のけたの場合の計算が、「1けたでわるわり算の筆算」をもとにしてできることを学ぶこと。
- 筆算の仕方について学ぶこと。
つまり、学校の先生は、この内容を教科書を使って子どもたちに教えています。「2けたでわるわり算の筆算」では、これまでの「1けたでわるわり算の筆算」で学んだことをもとにして学ばせてくださいということです。
では、筆算の仕方を「96÷32」を例にして、一緒に確かめていきましょう。
手かくし法
わり算の筆算を計算するときに「たてる→かける→ひく→おろす」の4つの手順(アルゴリズム)が大切ですが、その前に大切なことは、わられる数を手や紙、もしくは消しゴムなどでかくしながら計算していくことです。

一の位をかくすと「9÷36」になりますが、「9÷36」はできません。商をたてることはできないのです。もし算数が苦手であれば、この位には「商が立たない」という目印に、十の位の上に小さく「×」を書いておくとよいかもしれません。
ただし、学校の先生によっては、「どうしてここに×を書いているの?」と言われるかもしれません。そのときは、「この位に商が立たないからです。」と理由をしっかり説明すれば大丈夫でしょう。
商がたたないことを確かめたので、かくしている部分を横に移動させます。

これで「96÷32」の計算をすることになります。先ほど説明したとおり、「十の位には商が立たない=十の位には商を絶対に書かない」ことを確かめておきましょう。
見当をつける
4年生の算数「2けたでわるわり算の筆算」で一番のつまずきが「見当をつける」ことです。この見当をつけることがわからないと、この先のわり算の筆算は、すべて「勘(かん)」で解くことになってしまいますので、見当をつけることを大切にしてほしいです。

見当づけは、わる数とわられる数の小さい位をかくします。すると「9÷3」が商の見当をつけたことになります。
先ほどの手かくし法と似ていますが、手かくし法は計算するところをはっきりさせるためであって、商の見当づけとは違いますので注意が必要です。
わる数が2けたになると、消しゴムや手でかくさなければならないことが多くなります。そのため、算数が苦手な子にとって混乱する原因なのかもしれません。だからこそ、家庭でも丁寧に扱ってください。
たてる
先ほど見当をつけた「9÷3」を計算すると「3」になるので、「3」を商としてたてます。

ここまでくれば、一安心です。あとは、「1けたでわるわり算の筆算」の手順どおりです。
かける
かけるは、「32×3」になります。

3年生で「1けたをかけるかけ算の筆算」を学んでいるので、その手順で一の位から計算します。
①「3×2=6」
②「3×3=9」
このかけ算の手順がわからないときは、3年生の「1けたをかけるかけ算の筆算」を復習するとよいかもしれません。3年生の学びなので、もしかしたら忘れているかもしれません。
ひく
ひきます。

「96-96=0」になります。これは大丈夫でしょう。
おろす
「96÷32」では、ここで計算が終わるのため「おろす」はありません。
4年生の「1けたでわるわり算の筆算」と同じように、かくしている部分があれば「おろす」、かくしている部分がなければ「おわり」と教えるとよいです(商に小数が入ってくると、この考え方が使えなくなります)。
まとめ
「2けたでわるわり算の筆算」は、同じ4年生の「1けたでわるわり算の筆算」とつながっています。「2けたでわるわり算の筆算」は「見当をつける」という考え方が入ってくるため、つまづきがとても多い学びになります。高学年になっても、すばやく計算できない子がいるくらいです。
ただし、この見当をつけることがしっかりできれば、2年生の「九九」、3年生の「1けたをかけるかけ算の筆算」、4年生の「1けたでわるわり算の筆算」を使って、「175÷35」「552÷24」「9646÷26」などのわる数のけた数が多いわり算ができるようになります。
数が大きくなり、とまどうことがあるかもしれませんが、学びはつながっています。これまでの学びを大切にしていけば、「2けたでわるわり算の筆算」もできるはずです。
