3年生では、わり算の意味と九九を1回使う計算の仕方を学んでいます。4年生では、はじめてわり算の筆算を学びます。ここでは、元小学校教員が学校で教える「1けたでわるわり算の筆算」のポイントを紹介します。わり算の筆算を家庭で教える際に、気を付けることが何かが分かります。
学ぶこと
小学校の教員が、何を大切にして教えているのかが分かれば、家庭でも子どもに分かりやすく教えることができます。
学校で1けたでわるわり算の筆算を教える際に気を付けていることは、「手かくし法」と「たてる→かける→ひく→おろす」の4つの手順(アルゴリズム)です。この4つの手順について「72÷3」を例にして説明していきます。
手かくし法
わり算の筆算を計算するときに4つの手順を守ることも大切なのですが、その前に大切なことは、わられる数を手や紙、もしくは消しゴムなどでかくしながら計算していくことです。

この方法を「手かくし法」と言います。算数が苦手な子ほど、「手かくし法」のような基本的なことをやりたがらない(恥ずかしくてやらない)のですが、できるだけ情報を少なくして計算することは大切です。
子どもが「1けたでわるわり算の筆算」ができていないときは、「手かくし法」をやっているか見てあげてください。
たてる
「手かくし法」を使いながら、まず商をたてます。

ここでは、一の位の「2」をかくし「7÷3」の計算をします。「7÷3」は、3年生の「あまりのあるわり算」でできるようになっています。
もし、「7÷3」ができないときは、3年生の「あまりのあるわり算」までもどって復習をするとよいです。
かける
つぎに、かけます。

わる数の「3」と、商の「2」をかけます。「3×2=6」なので、6を7の下に書きます。「2×3=6」でも問題ありません。
もし「3×2」ができないときは、2年生の「かけ算(九九)」までもどって復習するとよいです。九九が完璧にできていないと、わり算はできません。
ひく
そして、ひきます。

「7」から「6」をひきます。「7-6=1」なので、1を書きます。これは大丈夫でしょう。
おろす
最後は、おろすです。おろすでは、手かくし法でかくしていた部分をとります。

わられる数の「一の位」の「2」をおろします。これで「1けたでわるわり算の筆算」の4つの手順が終わりです。あとは、この「たてる→かける→ひく→おろす」をくり返します。
「たてる→かける→ひく→おろす」のくり返し
次は、おろしたあとの「12」を見ながら計算することになります。

4つの手順(アルゴリズム)を覚えていても、筆算が苦手な子は、おろしたあとの次に何を計算するのかわからないことがあります。もしここでつまづいているときは、おろしたあとの「12」を見て計算を進めることを伝えてあげてください。

そして、4つの手順(アルゴリズム)とおりに計算を進めます。
①たてる
「12÷3=4」だから「4」をたてる。
②かける
「3×4=12」だから12を書く。
③ひく
「12-12=0」だから0を書く。
ここで計算が終わりのため「おろす」の過程はありません。
「おろす」過程があるときとないときがあり、混乱する子もいます。4年生の「1けたでわるわり算の筆算」のときは、かくしている部分があれば「おろす」、かくしている部分がなければ「おわり」と教えるとよいです(商に小数が入ってくると、この考え方が使えなくなります)。
学びのつながり
「1けたでわるわり算の筆算」は、同じ4年生の「2けたでわるわり算の筆算」につながります。この「2けたでわるわり算の筆算」は「見当をつける」という考え方が入ってくるため、つまづきがとても多い学びになります。高学年になっても、すばやく計算できない子がいるくらいです。
たとえば、以下のような計算を筆算でします。
- 96÷32
- 175÷35
- 552÷24
- 9646÷26
数が大きくなり、「見当をつける」という考え方が入るだけで、「2けたでわるわり算の筆算」でも、基本的に九九を使うことに変わりはありません。また、4つの手順(アルゴリズム)を使うことにも変わりはありませんので、「1けたでわるわり算の筆算」を大切にしてほしいです。
まとめ
4年生の「1けたでわるわり算の筆算」で大切なポイントはがわかったでしょうか。「手かくし法」と「たてる→かける→ひく→おろす」の4つの手順(アルゴリズム)です。このことを大切にしていけば、「1けたでわるわり算の筆算」は大丈夫です。どの数を見て、どのように計算して、どこに何を書けばよいのか、家庭でもくり返して練習しましょう。