㎠、㎡、㎢など面積の学びが難しく感じる人、a(アール)、ha(ヘクタール)が何かよく分からない人に向けて、はじめての「面積」のポイントを元小学校教員が紹介します。元小学校教員が教える面積の単位の大切さについて知ることで、家庭で子どもに教えるときに気を付けることが分かります。
学ぶこと
小学校の教員が、何をポイントとして教えているのかが分かれば、家庭でも子どもに分かりやすく教えることができるはずです。小学校の教員は、次の2つのポイントを意識して指導しています。
①㎠を使って、長方形、正方形の面積を求める方法を考え、公式を考える。
②㎠より大きな面積として㎡、㎢、a、haの単位を知る。
長方形と正方形の公式を考える
面積の公式と言えば、
長方形=たて×横
正方形=一辺×一辺
というのは多くの人が知っています。
では、なぜ、このような公式になっているか説明できますか。みなさんが小さいときには、きっと学校でこの公式がどうして成り立つのか考えたはずですが、いつの間にか考え方は忘れ、公式だけが残っているはずです。
たて5㎝、横7㎝の長方形の面積で考えてみましょう。

基本的には「1㎠」がいくつ並んでいるのかを数えるのが、長方形と正方形の公式です。たてには、1㎠がいくつ並んでいますか。5個です。

横はどうでしょうか。横には7列並んでいます。
つまり、この1㎠を数えるのが公式となります。
たての個数×横の個数=1㎠の正方形の個数 つまり、
たて×横=長方形の面積
公式を使い続けると、長さをかけているように感じてしまいますが、1㎠の個数を数えるのがこの公式の本来の意味です。
正方形では、たてと横の個数が同じなので、以下のようになります。
一辺×一辺=正方形の面積
長方形と正方形の公式は「長さをかければよい」とよく耳にしますが、それは意味としては違います。本当は「1㎠の個数と長さが同じだから、長さをかけている」ということです。これを理解しながら、子どもに声をかけると、学校での学びが生かされてよいかもしれませんね。
㎡の単位を知る
㎡の単位についても4年生の算数ではじめて学びます。1㎠がしっかり理解できていれば、㎡の考え方は同じなので大丈夫です。1㎡をもとにして、その個数を数えればよいのです。とはいえ、1㎠と違い机上では数えられないので、子どもには難しく感じます。
1㎡では、よく教室の床の面積をもとに考えます。家庭では、花壇の広さ、砂場の広さなど、1㎡がもとになりそうなもので一緒に考えてみるとよいかもしれません。
ここで難しいのは、「1㎡=10000㎠」を理解することです。「理解する」というのは、暗記をすることではありません。どうして1㎡が10000㎠になるのかを知ることです。暗記は忘れることがありますが、どうしてそうなるのかしっかり考えたことはなかなか忘れません。
1㎡の正方形では、1㎠がたてに100個、横に100個並んでいます。

一辺を1㎡とすると、これが10000㎠です。目がチカチカするくらいの数です。数えることはきっとできないでしょう。ただ、たて×横の公式を使えば、100×100=10000と求めることができます。この考え方が理解できていれば、「1㎡=10000㎠」は覚える必要はありません。
1㎡=10000(100×100)㎠
㎢の単位を知る
この考え方は、1㎡と同じです。これも、「1㎢=1000000㎠」を暗記する必要はありません。
1㎢の正方形では、1㎠がたてに1000個、横に1000個並んでいます。これは、「1㎞=1000m」だからです(この長さの公式は覚えておかなければなりません)。そして、たて×横の公式を使えば、1000×1000=1000000と求めることができます。
自分の住んでいる地域でとらえるのがよいかもしれません。たとえば、googlemapで1㎢の広さを感覚としてつかませることが大切です。学習は机上で行うことが多いですが、机上でも感覚を使うことは大切です。
1㎢=1000000(1000×1000)㎠
a(アール)、ha(ヘクタール)の単位を知る
農家であれば、これらの単位はよく使うのかもしれません。ただ、普通に生活してこの単位を使うことはほぼありません。教員だったから使っていたものの、日常生活で出会うことはほぼありません。みなさんはどうでしょうか。
1aは、一辺が10mの正方形です。1haは、一辺が100mの正方形です。
1a=100㎡(10m×10m)
1ha=10000㎡(100m×100m)
では、なぜこの単位を学ぶのでしょう。それは、1㎡の単位を使うと数値が大きくなりすぎ、1㎢の単位を使うと数値が小さくなりすぎるときがあるからです。その中間をうめるものとして、一辺が10mや100mの正方形を単位として使います。
私が教員のときは、1aは体育館の半分の広さ、1haはグラウンドの広さと教えていました。いつも遊んでいる場所のため、感覚として理解できます。
復習するときには、「体育館の半分の広さ」「グラウンドの広さ」とすることで、多くの子どもたちは覚えているようでした。ぜひ、野球やサッカーなど身近なところで、分かりやすい広さの場所があればそれらを生かしてみてください。
学びのつながり
4年生の算数「面積」は、どのような学びとつながるのでしょうか。この長方形と正方形の面積の求め方は、5年生の算数「面積」の「三角形の面積」「平行四辺形の面積」などを求めるときに使います。長方形を対角線で分ければ三角形になりますよね。だから、「三角形=たて×横÷2」になるのです。

公式は覚えているけど、どうしてそのような公式になるのか忘れている人も多いはずです。大人の記憶は切られていることが多いですが、子どもの学びはつながっていくのです。5年生で「面積」を学ぶときに、困らないように公式を暗記させるのではなく、どうしてそうなるのかを大切にして学びを深めてほしいです。
まとめ
4年生の算数「面積」の学びがなぜ難しく感じるのか、a(アール)、ha(ヘクタール)とは何なのか分かったでしょうか。学校で学んだことをもとにして、日常生活で面積の単位にたくさん触れてほしいです。「東京ドーム何個分」という表現がよくありますが、東京ドームに行ったことがない人にはよく分かりません。
余談ですが、東京ドームの広さは、46755㎡=0.047㎢です。分かりにくくありませんか。
ここで使えるのが、「ha」です。46755㎡=0.047㎢=4.7haです。
1haはだいたいグラウンド1つ分なので、東京ドームは、学校のグラウンド4~5個分の広さです(学校の規模による)。
このように、様々なところで使える面積の単位をしっかり学ぶことで、5年生の「面積」でも困らないようになるでしょう。