小学校1年生の算数で学ぶ「10までの数」の学習がどうして大切なのか、子どもに何を教えればよいのか分からない人に向けて、10までの数についてのポイントを元教員がまとめていきます。元教員が教える10までの数の大切さについて知ることで、子どもに教える際に気をつけることがわかります。
学ぶこと
小学校の教員が、何をポイントとして教えているのかが分かれば、家庭でも子どもに分かりやすく教えることができるはずです。小学校の教員は、小学校1年生の算数「10までの数」で、10までの数の合成・分解、10の補数関係が分かるように教えています。
合成・分解
「合成・分解」とは何でしょうか。「合成」とは、「10までの数をつくること」です。「分解」とは、「10までの数を2つの数に分けること」です。かんたんにいえば、「10までの数がいくつといくつになるか」が分かればよいのです。
たとえば「7」で考えると、
●と●●●●●● 「1と6で7」
●●と●●●●● 「2と5で7」
●●●と●●●● 「3と4で7」
その他に「4と3で7」「5と2で7」「6と1で7」です。
これを、1~10の数で学びます。
10の補数関係
「補数関係」は、「10づくり」「10にする」ということで、「10の合成・分解」と似ていますが少し違います。小学校の教員は違いを意識して指導していますが、家庭でこの違いを意識して教える必要はありません。ただ、どのような違いがあるのか紹介します。
「10の補数関係」とは、「10づくり」「10にする」という考え方です。
「10は7と□」 ●●●●●●●_ _ _
「10は8と□」 ●●●●●●●●_ _
「10は9と□」 ●●●●●●●●●_
他にも、「10は1と□」「10は3と□」「10は5と□」などがあります。
学びのつながり
なぜ「10までの数の合成・分解」「10の補数関係」が大切なのでしょうか。それは、「くりあがりのあるたし算」「くりさがりのあるひき算」の学びとつながるからです。
小学校の教員は、学びのつながりを知っているため、「10までの数」を大切に扱います。10をこえる数のたし算やひき算で重要となるからです。
家庭では、「こんなの簡単でしょう」「何となく覚えていれば大丈夫でしょう」と感じることが多いため、あまり重要視されることはありません。
「くりあがりのあるたし算」「くりさがりのあるひき算」で、指を折って計算する子どもは、「10までの数の合成・分解」「10の補数関係」がわかっていないことになります。
くりあがりのあるたし算
「8+3」でかんたんに説明します。
①10をつくる
「8と2で10(10の合成)」「10は8と2(10の補数関係)」の考え方を使います。
※「10の合成」「10の補数関係」は、子どもによって考え方の違いがあるので、どちらでも大丈夫です。家庭で意識する必要はありません。
②3を分ける(2を使うため)
3から2をとらなければならないので、「3を2と1に分ける(3の分解)」の考え方を使います。
くりあがりのあるたし算では、「10までの数の合成・分解」「10の補数関係」の考え方が、このように使われます。
くりさがりのあるひき算
「13-9」でかんたんに説明します。
①10から9をとる
「10は9と1(10の分解、10の補数関係)」の考え方を使います。
②1と3を合わせる
残った1と3を合わせるので、「1と3で4(4の合成)」の考え方を使います。
くりさがりのあるひき算でも、「10までの数の合成」「10の補数関係」の考え方が使われることが分かります。
このように、「くりあがりのあるたし算」「くりさがりのあるひき算」では、「10までの数の合成」「10の補数関係」がわかっていないと計算が遅くなってしまいます。
「くりあがりのあるたし算」「くりさがりのあるひき算」には、他にも過程がありますが、ここでは「10までの数の合成」「10の補数関係」が使われるところだけ紹介しました。「くりあがりのあるたし算」「くりさがりのあるひき算」については、別の記事で詳しく紹介します。
まとめ
「10までの数」が、どうして大切かわかったでしょうか。家庭では、学校で学んできたことをもとにして、ブロックやおはじきを使って、何度も繰り返すことが大切です。大人は簡単でも、1年生ははじめて数にふれたばかりです。無理に教えるのではなく、日常生活で興味・関心をもたせてみるとよいかもしれません。
「10までの数」をしっかり学ぶことで、くりあがりのあるたし算やくりさがりのあるひき算で困らないようになるでしょう。